メディア運営会社に務めていたときのこと。新規でサイトを立ち上げて欲しいと上司にいわれました。そんなこといわれてもサイトも立ち上げたことはおろか企画を考えたこともありません。どうやって考えればいいんだ・・・と途方に暮れていたときある本に出会いました。今回はその本の紹介をします。
これを読むと
- 企画の組み立て方
- 情報設計(インフォメーション・アーキテクチャ)とは
- アイデアを考える時の基本となる考え方
がわかるようになります。
今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ
全部で7章で構成されています。1ページにひとつ教訓が載っていて、どこから読んでもよいつくりに。章末には実際に自分で手を動かすワークシートがついています。こうやって実際に考えるはすごく大事だなと思います。そして、この本のおすすめポイントはなんといってもこれ!
シンプル
これに尽きます。
なぜシンプルな本が良いのか
なぜなら、応用が効くからです。もう少し詳しくお話します。
専門的な本は確かにその分野に関しては詳しく書いてあります。ですが、その分野をちょっと離れれば通用しない情報も多いのです。分野を変えるたびに専門書を読むのは正直無駄が多いなと思います。だったら汎用的な本をいったん読んで、それでもわからなかったら専門書を読んだほうが効率がいいのではないかと私は思うのです。
確かに世の中企画書に関する書籍はたくさんあります。今回紹介する本よりもより企画書を書くために特化した専門書はたくさんあることでしょう。しかし、この本は企画書を書くための本ではなく「情報設計」のための本なのです。考えること全般に応用できます。それではちょっと中身を紹介していこうと思います。
そもそも情報設計とはなんでしょうか。この本ではこのように定義しています
「ある一連のコンセプト」
そのコンセプトは混沌とした状態に秩序を与えます。
この本では混乱状態であることを認識し、どう情報を整理し構築していくかが順に書かれています。
この本で印象的だったのは第2章「意図を表明する」。とくに
- 「なぜからはじめる」
- 形容詞を使って表現するワークシート
この二つはとても勉強になりました。
なぜからはじめる
ちょっとした例で紹介します。例えば、新しいボールペンの企画。
いざボールペンを開発するにあたって、いきなりペンの形状や色、インクの種類、キャッチコピーから考えますか?答えはおそらくノー!でしょう。
いきなりそんなことを考えられません。なぜなら誰に、なぜ、何を、どうやってがきまっていないからです。
今回の例えでは、便宜上、新しいボールペンにしましたが、ボールペンというのは「どうやって」に該当します。
20代女性が職場でもルンルン気分で仕事を行える体験を提供するのが「なぜ」に当たる部分、そう目的なのです。ちょっと例を元にいろいろ考えてみます。
・仮説、前提
既存の文房具は男性向けの多機能でゴツくて地味な文房具ばっかり。これじゃ手になじまないし、テンションが上がらない。自分の手にフィットするかわいい文房具があればいいのに・・・
・ターゲット
20代女性OL
・なぜ
20代女性が職場でもルンルン気分で仕事ができないから。もし、ルンルン気分で仕事ができれば生産性が向上するかもしれない。
・なにを
20代女性が職場でもルンルン気分で仕事を行える体験
どうやって
小ぶりでかわいいボールペンを出す。
まあものすごーく簡略化していますが、こういう感じで考えをすすめていきます(実際はもっと複雑だし、論理的根拠を求められたりします)。このなぜから始めるのはとても重要なのです。
形容詞を使って表現する
自分の企画の方向性を決めるために、その企画が受け手にとってどういうものなのか形容詞を使って表現するのです。
今回ならかわいい、軽い、ポップな、ルンルンとかでしょうか。
逆に思われたくない形容詞はゴツい、地味、でかい、とか
こうやって形容詞ベースでざっくりとでいいので予め方向性を決めておきます。そうすることで途中でコンセプトが迷走しづらくなります。
まとめ
というわけで企画を考えるときとかに役立つ本を紹介しました。本当にこの本は参考になりましたし、なにか考え事がぐるぐるし出したときとかに読み返しています。
この本では「センスメイキング」を「解きほぐして整理」と訳しているのですが、まさしくその通り言い得て妙だなと、翻訳者すごいなーと思いました。
いま、何かの企画の構想中であったり、なにか課題を抱えていて考え事で頭の中がぐるぐるしているアナタ!この本を読んだらその混乱がセンスメイキング(解きほぐして整理)できるかもしれませんよ。